自然の要求に従うのだ。お前にできることなら、すぐに動き出すのだ。誰かが認めてくれるかどうかなど心配するな。プラトンの説く理想国家を望んではいけない。ほんのわずかな前進にも満足し、結果は重要視するな。- マルクス・アウレリウス『自省録』
Do what nature demands. Get a move on—if you have it in you—and don’t worry whether anyone will give you credit for it. And don’t go expecting Plato’s Republic; be satisfied with even the smallest progress, and treat the outcome of it all as unimportant. – Meditations: Marcus Aurelius
この『自省録』で、マルクス・アウレリウスは自らに向けて語りかけます。この時、彼は煮え切らない状況にあり、次の一歩が踏み出せない状態にあったのかもしれません。ストレートに自分に動き出すことを促しています。
「プラトンの説く理想国家(最高の知恵を持つ「哲人王」が国を統治し、国家全体として正義を実現する)を望んではいけない」と述べています。これは、彼自身が完璧主義の罠に陥る危険性を感じているからです。
条件が整っていないとか、少し待てばもっと良い機会が巡ってくるなど、先延ばしにするための理由はいくつも思い浮かんでくるかもしれません。やるかやらないかの板挟みになっている状態とも言えます。
こんな時、ストア派には思考を整理するためのツールがあります。それが「コントロールの二分法」です。これは、自分の力でコントロールできること(自分の判断や行動)と、コントロールできないこと(他人の行動や外部の出来事)を明確に区別することを意味します。この教えは、無駄なストレスや不安を避け、効果的にエネルギーを使うための重要な指針となります。
また、冒頭の「自然の要求に従うのだ。」における「自然」とは、ストア派が生きる上で共有すべき「世界を支配する理性」を指しています。
あなたが今、善きことでありながら進めるべきか立ち止まってしまっているのなら、迷うことはありません。今すぐ、自分にできることに取り掛かってください。状況を常に客観的に評価し、結果の表面だけを大げさに受け止めることなく、本質に目を向けてください。
その時には、マルクス・アウレリウスが使っていたのと同じストア派のツールが、あなたの思考をサポートしてくれるはずです。
121年4月26日、ローマの地に誕生したマルクス・アウレリウスは、後にローマ帝国の第16代皇帝となり、善政を行った五賢帝の最後の皇帝として名を馳せます。現代の我々から見ると、彼は優れたリーダーシップと深い自己省察を兼ね備えた稀有な存在です。彼が残した『自省録』は、戦場や宮廷の喧騒の中にありながら、自身のストア哲学実践のために綴られ続けたものです。その思想と行動を、後に多くの歴史上の偉人やリーダーたちが手本とした人物としても広く知られています。
あなたは朝派?夜派?
あなたのジャーナリングの時間は朝ですか?夜ですか?私は起きてすぐの、早朝派です。思考に雑念が入り込む前の、澄んだ意識の状態を狙って書き始めると、ペンがよく走ります。
ただ私の場合、寝起きのコンディションによってペンの重さが変わります。眠りの質が悪く、憂鬱な気分で目覚めたり、悪い夢の途中だったりすると、集中できる状態になるまで少し時間がかかります。寝起きのコンディションがジャーナリングに影響を与えてしまうんです。
しかし…哲人皇帝マルクス・アウレリウスなら、こんな弱々しい言葉は決して口にしなかったでしょう。彼は10代の頃、哲学に傾倒し始めると、粗末な哲学者風の衣服で過ごし始め、さらにギリシア的鍛錬法を実践。母親から注意されるまでベッドではなく地面で寝ていたといいます。地面です!私は地面で眠ることはできませんが、ストア派の教えを生活に活かすため、ジャーナリングによる自己省察の時間を少しでも充実させようと、、ベッドのマットを新調しました。目覚めの状態が良くなり、ペンの走りは快調です。哲人たちには物足りないと言われそうですが、これも私なりのストア派の実践です。