だから、人生の最期を迎えたかのように、心構えをしておくのだ。何事も先延ばしにしてはならない。毎日、人生の収支を清算するがよい。…日々、自らの人生を仕上げていく者は、決して時間に不足することはないのだ。- セネカ『倫理書簡集』
Therefore, let us so order our minds as if we had come to the very end. Let us postpone nothing. Let us balance life’s account every day.…One who daily puts the finishing touches to his life is never in want of time. – Moral Letters to Lucilius: Seneca
「人生の最期を迎えたかのように」—— この言葉に込められた意味を、じっくりと考えてみてください。もし今日が人生最後の日だとしたら、あなたは何をしますか?
何を後悔し、何を誇りに思うでしょうか?
セネカは「何事も先延ばしにしてはならない」と諭します。
私たちは往々にして、「いつか」「そのうち」と言って、大切なことを後回しにしがちです。しかし、その「いつか」が決して訪れないかもしれないことを、私たちは忘れています。「毎日、人生の収支を清算する」—— もちろん、会計の話ではありません。
あなたの行動、思考、感情を日々振り返ることです。今日、あなたは何を得て、何を失いましたか?何を学び、誰を愛しましたか?そして最後に、セネカは私たちに希望を与えます。
「日々、自らの人生を仕上げていく者は、決して時間に不足することはない」と。これは、毎日を充実させ、意味あるものにすることの重要性を教えています。今日から、あなたの生き方を変えてみませんか?
- 今日が最後の日だとしたら、何をしますか?それを実行してみてください。
- 先延ばしにしていることはありませんか?今すぐ取り組める小さな一歩を踏み出してみましょう。
- 今日の終わりに、自分の行動を振り返る時間を設けてみてください。
時間は有限です。しかし、セネカの教えに従えば、その限られた時間の中で、私たちは豊かで充実した人生を送ることができるのです。今この瞬間から、あなたの人生を「仕上げていく」ことを始めてみませんか?それが、真の意味で「生きる」ということなのかもしれません。
セネカは紀元前4年頃、現在のスペインにあたるコルドバで生まれ、ローマ帝国の哲学者、政治家、劇作家として名を馳せました。ストア派哲学の代表的思想家でありながら、大資産家として富を築き、若い皇帝ネロの家庭教師を務め、権力の中枢にまで上り詰めました。この生き方は、しばしばストア哲学との矛盾を批判されました。しかし、実はそこに現代を生きる我々への大いなるヒントが秘められています。『人生の短さについて』や『怒りについて』など、彼の著作は今なお広く読まれ、富を手にしながら自分を見失うことなく、幸せと自由を追求する術を与えてくれます。