Email-マルクス・アウレリウス

君の思いを人生の耐え難い重さに打ち砕かれてはいけない。起こりうる全ての悪いことを想像しようとするな…

君の思いを人生の耐え難い重さに打ち砕かれてはいけない。起こりうる全ての悪いことを想像しようとするな。目の前の状況に集中し、こう問いかけよ。『なぜこれほど耐え難いのか?なぜ私はこれに耐えられないのか?』- マルクス・アウレリウス『自省録』

Don’t let your imagination be crushed by life as a whole. Don’t try to picture everything bad that could possibly happen. Stick with the situation at hand, and ask, “Why is this so unbearable? Why can’t I endure it?” – Meditations: Marcus Aurelius – Meditations: Marcus Aurelius

 水槽にインクを垂らしたように、一点から不安はじわじわと全体に広がっていくー今目の前に直面している問題が上手くいかなければ、人生全体が闇に覆われていくようなプレッシャーを感じてしまいます。

反対に、潜在的に人生全体に暗い影を感じて不安を抱えていると、小さなことでも上手くいかないのではないかと感じることがあります。

このような状況に対し、マルクス・アウレリウスは自分自身へ「目の前の状況だけに集中」せよ、と語りかけています。

ストア派実践の原則には、困難な状況に対処するための方法がいくつもあります。代表的な考え方には、「コントロールの2分法」「アパテイヤ」があります。

確かに、これらの2つの方法を知っていると、さまざまな状況を把握し、考えを整理するのに非常に役立ちます。

しかし、皆さんにも経験があるでしょうが、実際に困難に陥ると、状況は刻々と変化し、深刻度は増します。いくつもの条件が複雑に絡み合い、一気に解決することは難しいのが現実です。

本当は哲学者になりたかったマルクス・アウレリウスは、時の最高権力者でありながら、日々複雑な状況に直面していたことでしょう。もちろん彼は、この状況に対処するために、困難な状況をメタ視点で確認し、最適な解決策を探ったはずです。しかしそれでも最後は、目の前のことに集中するべきだと、自分に言い聞かせているのです。

私たちは往々にして、起こりうる最悪の事態を想像し、不安に駆られがちです。マルクス・アウレリウスは「起こりうる全ての悪いことを想像しようとするな」と、不必要な心配を避けるよう促しています。

代わりに、彼は目の前の状況に集中するよう語りかけています。今この瞬間に向き合い、自分自身に問いかけることとは何か。「なぜこれほど耐え難いのか?なぜ私はこれに耐えられないのか?」この自問自答により、自己の内面と状況を客観的に見つめ直し、冷静に対処しようとするのです。

全体像を把握することは重要であり、ストア派の実践方法の中で説明されています。しかし、全体像にばかり目を奪われ、先のことをあれこれ考えてプレッシャーに晒されると、目の前の状況を掴めなくなります

今、あなたが突破しなければならない状況があるのなら、困難な状況の中で今に意識を集中していたマルクス・アウレリウスの姿を思い出してみてください。

参考文献

マルクス・アウレリウスとは?

121年4月26日、ローマの地に誕生したマルクス・アウレリウスは、後にローマ帝国の第16代皇帝となり、善政を行った五賢帝の最後の皇帝として名を馳せます。現代の我々から見ると、彼は優れたリーダーシップと深い自己省察を兼ね備えた稀有な存在です。彼が残した『自省録』は、戦場や宮廷の喧騒の中にありながら、自身のストア哲学実践のために綴られ続けたものです。その思想と行動を、後に多くの歴史上の偉人やリーダーたちが手本とした人物としても広く知られています。

 

あなたは朝派?夜派?

あなたのジャーナリングの時間は朝ですか?夜ですか?私は起きてすぐの、早朝派です。思考に雑念が入り込む前の、澄んだ意識の状態を狙って書き始めると、ペンがよく走ります。

ただ私の場合、寝起きのコンディションによってペンの重さが変わります。眠りの質が悪く、憂鬱な気分で目覚めたり、悪い夢の途中だったりすると、集中できる状態になるまで少し時間がかかります。寝起きのコンディションがジャーナリングに影響を与えてしまうんです。

しかし…哲人皇帝マルクス・アウレリウスなら、こんな弱々しい言葉は決して口にしなかったでしょう。彼は10代の頃、哲学に傾倒し始めると、粗末な哲学者風の衣服で過ごし始め、さらにギリシア的鍛錬法を実践。母親から注意されるまでベッドではなく地面で寝ていたといいます。地面です!私は地面で眠ることはできませんが、ストア派の教えを生活に活かすため、ジャーナリングによる自己省察の時間を少しでも充実させようと、、ベッドのマットを新調しました。目覚めの状態が良くなり、ペンの走りは快調です。哲人たちには物足りないと言われそうですが、これも私なりのストア派の実践です。