Email-エピクテトス

もし一度戦いに敗れ、次は違うと言い張りながら同じやり方を繰り返すなら、間違いなく君は哀れで…

もし一度戦いに敗れ、次は違うと言い張りながら同じやり方を繰り返すなら、間違いなく君は最後には哀れで弱々しい状態に陥り、自分が間違っていることにも気づかず、自分の不適切な行動を正当化し始めることだろう。- エピクテトス『語録』

If you lose the struggle once, but insist that next time it will be different, then repeat the same routine – be sure that in the end you will be in so sad and weakened a condition that you won’t even realize your mistakes, you’ll begin to rationalise your misbehaviour. – Discourses of Epictetus

同じやり方を繰り返しながら、違う結果を期待することはできません。これは、ストア哲学の核心的な教えの一つです。私たちは理性的な存在でありながら、しばしばこの単純な真理を無視し、無意識に同じ失敗を繰り返してしまいます。

「今日は怒らない」「今日は食べすぎない」「今日は仕事を定時に終える」

こうした決意は立派ですが、ストア派の視点から見れば、単なる願望に過ぎません。実際に行動を変えずに、気持ちだけで結果が変わると期待するのは、自己欺瞞に他なりません。

確かに、慣れ親しんだ方法を無反省に続けるのは楽です。自己省察や変化への挑戦は、時に痛みを伴う困難な過程だからです。しかし、ストア哲学は私たちに、この困難こそが成長の糧であると教えます。

エピクテトスが警告するように、この安易な道を選び続ければ、最終的に「哀れで弱々しい状態に陥り、自分が間違っていることにも気づかず、自分の不適切な行動を正当化し始める」のです。これは、ストア派が最も警戒する、理性の放棄と自己欺瞞の状態です。

多くの人は「自分はそうではない」と反論するかもしれません。しかし、ストア哲学は私たちに、自己の行動を冷静に観察し、批判的に分析することを求めます。そうすることで、私たちは自分の無意識の習慣や思考パターンに気づくことができるのです。

では、どのようにしてこの状況を改善できるでしょうか。

ストア派の教えに従えば、まず意識的に自分の失敗に目を向けることから始めます。これは単なる自己批判ではなく、建設的な自己分析です。失敗を恐れるのではなく、それを学びの機会として捉えるのです。

次に、具体的な行動の変化を計画し、実行します。例えば、怒りを管理したいなら、怒りを引き起こす状況を予測し、それに対する新しい反応を練習します。食生活を改善したいなら、食事の内容や時間を具体的に計画し、それを守る努力をします。

そして最も重要なのは、この過程を継続することです。ストア派は、徳の獲得は一朝一夕にはできないと教えます。日々の実践、反省、修正を通じて、少しずつ但し着実に進歩していくのです。

このように、ストア哲学の実践の入り口は日々の生活に隠されています。それは容易な道のりではありませんが、エピクテトスが説くように、この継続的な努力こそが私たちを真の自由と幸福へと導くのです。

参考文献

エピクテトスとは?

エピクテトスは紀元後50年頃、現在のトルコにあたるヒエラポリスで奴隷として生まれました。生まれながらの身分や、足に障害があるなど過酷な境遇にもかかわらず、彼はストア派哲学の偉大な思想家へと成長しました。彼の教えは、後に皇帝マルクス・アウレリウスに深い影響を与え、『自省録』の中で何度も言及されています。奴隷に生まれ、時の最高権力者の精神的指導者となったエピクテトスの人生は、運命の劇的な逆転を体現しています。彼の教えの記録『人生談義』は、困難な状況にあっても内なる自由を保ち、幸福を追求する方法として、今なお多くの人々に読まれ続けています。

 

エピクテトスは、健康を外的なものとして捉え、完全にコントロールできるものではないと考えました。しかし、健康的な生活習慣を維持することは個人の責任であると教えています。2000年前と違い、私たちに少しだけ有利なことは、今は自分の体質の傾向を詳細に知った上で健康管理ができることです。ストア派の実践は健康管理と両輪です。私もこの検査によって健康意識が一段上がりました。共に、幸せと本当の自由を手に入れるために進んでいきましょう。