Email-エピクテトス

人生における私たちの最初の仕事は、物事を2つのカテゴリーに分けて識別することだ…

人生における私たちの最初の仕事は、物事を2つのカテゴリーに分けて識別することだ。自分にコントロールのできない外的な物事か、自分の選択によってコントロールする物事か。それが正しく出来たか、出来ていないか、どうして分かるというのか?自分自身の中で、自分自身の選択として行うがよい。自分の範囲外のものに対しては、良い、悪い、有益、有害などと決して呼んではならない。- エピクテトス『語録』

So in life our first job is this, to divide and distinguish things into two categories: externals I cannot control, but the choices I make with regard to them I do control. Where will I find good and bad? In me, in my choices. Don’t ever speak of ‘good’ or ‘bad’, ‘advantage’ or ‘harm’, and so on, of anything that is not your responsibility. – Discourses of Epictetus

これは、2000年前の古代ローマの奴隷哲学者エピクテトスの言葉です。時を越えた言葉の持つ強い響きに圧倒されます。

人生において、私たちは様々な状況に直面します。その中で、エピクテトスは私たちに重要な識別を教えてくれます。それは、自分にコントロールできるものと、できないものを見分けることです。

あなたは日々、どれほど多くのことに心を煩わせていますか?他人の評価、予期せぬ出来事、社会の期待…。しかし、これらの多くは実は自分ではコントロールできないものなのです。

例えば、こんなことを考えたことはありませんか?「豪雨で電車が遅れなければ」「もっと背が高ければ」「もう少し若ければ」「海外に生まれていれば」…。でも、考えてみてください。今、自分が天候を変えることはできません。背が高く生まれ直すことも、時間を巻き戻して若くなることも、親の国籍を選んで生まれることもできません。だとすれば、私たちにはどんな選択があると言うのでしょうか?

エピクテトスはさらに問いかけます。「それが正しく出来たか、出来ていないか、どうして分かるというのか?」この問いは、私たちに自己省察を促します。本当に大切なのは、外部の状況ではなく、それに対する自分の態度や選択なのです。

彼は私たちに勇気を与えます。たとえ外的な自由が奪われても、内なる自由は誰にも奪えないと。あなたの選択、あなたの判断、それこそがあなたの本質なのです。

変えられない物事に対して、あなたがどのようにアプローチするかが、あなたの人生を決めていくということなのです。

さらに、エピクテトスは、自分の範囲外のものを「良い」「悪い」と判断することの愚かさを警告しています。 もともと判断のできない、そして判断する必要のないことでありながら、私たちの心の平安を乱す原因となるからです。これは自分を外側の評価で見るように誘導することにもなります。

ストア哲学の最も重要な原則は、変えられるものとそうでないものを区別することです。

エピクテトスが言うように、何を選択するかは、自分で決められるのです。具体的には、一日の始まりに、今日自分がコントロールできることとできないことをリストアップしてみましょう。例えば、天気はコントロールできませんが、雨の日の過ごし方は選べます。他人の意見はコントロールできませんが、それにどう反応するかは自分次第です。

このように意識的に区別することで、とめどなく押し寄せていた外部のプレッシャーから解放されて世界が違って見え始めます。無意識に縛られて続けていた物事がフッと消えて、スッキリとした状態で大切なことに取り組めるようになります。

ただし、これはストア派の考え方が、外部世界のことをどうでもいいと考えているわけではありません。むしろ、社会(宇宙)につながる自分のあり方として、重要な原則として教えてくれているのです。

参考文献

エピクテトスとは?

エピクテトスは紀元後50年頃、現在のトルコにあたるヒエラポリスで奴隷として生まれました。生まれながらの身分や、足に障害があるなど過酷な境遇にもかかわらず、彼はストア派哲学の偉大な思想家へと成長しました。彼の教えは、後に皇帝マルクス・アウレリウスに深い影響を与え、『自省録』の中で何度も言及されています。奴隷に生まれ、時の最高権力者の精神的指導者となったエピクテトスの人生は、運命の劇的な逆転を体現しています。彼の教えの記録『人生談義』は、困難な状況にあっても内なる自由を保ち、幸福を追求する方法として、今なお多くの人々に読まれ続けています。

 

エピクテトスは、健康を外的なものとして捉え、完全にコントロールできるものではないと考えました。しかし、健康的な生活習慣を維持することは個人の責任であると教えています。2000年前と違い、私たちに少しだけ有利なことは、今は自分の体質の傾向を詳細に知った上で健康管理ができることです。ストア派の実践は健康管理と両輪です。私もこの検査によって健康意識が一段上がりました。共に、幸せと本当の自由を手に入れるために進んでいきましょう。