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しかし、幸福を、今ここにないものを欲しがる気持ちと両立させることは決してできない…

しかし、幸福を、今ここにないものを欲しがる気持ちと両立させることは決してできない。真の幸福とは、望むものすべてを手に入れた状態を意味する。食事で満腹感を得るのと同じで、渇きも空腹もない状態でなければならない。- エピクテトス『語録』

But it is never possible to make happiness consistent with a longing after what is not present. For true happiness implies the possession of all which is desired, as in case of satiety with food; there must be no thirst, no hunger. – Discourses of Epictetus

あなたは今、手に入らないものを欲しがり、それが叶えば幸せになれると思っていませんか?「もっとお金があれば」「あの人のような地位があれば」と、今ここにないものを求めてはいないでしょうか?こういったものは、最近では「条件付きの幸せ」と呼ばれています。

エピクテトスは、そんな私たちに警鐘を鳴らします。今ここにないものを欲しがる気持ちと、真の幸福は決して両立しないのだと。

なぜでしょうか?それは、真の幸福とは、望むものすべてを手に入れた状態、つまり何も欠けていない充足した状態を意味するからです。エピクテトスは、これを食事の満腹感に例えています。空腹も渇きもない、完全に満たされた状態。それが真の幸福なのです。

しかし、常に何かを欲しがっている限り、私たちはこの満たされた状態に到達することはできません。欲しがれば欲しがるほど、幸福から遠ざかってしまうのです。

次はあれが欲しいと空想を膨らませたり、近い未来に起こってほしいことを想像したりすることは、気楽で楽しいものです。時間もあっという間に過ぎますが、実際には幸せにはつながりません。

このような状況では、どうすれば良いのでしょうか?エピクテトスは、私たちに内なる満足を見出すことを勧めています。今、ここにあるものに目を向け、それに感謝し、満足することです。

望む必要もないものを手に入れる空想に生きるか、本物の幸せのなかに生きるか。エピクテトスは、私たちにその選択を迫っているのです。 

参考文献

エピクテトスとは?

エピクテトスは紀元後50年頃、現在のトルコにあたるヒエラポリスで奴隷として生まれました。生まれながらの身分や、足に障害があるなど過酷な境遇にもかかわらず、彼はストア派哲学の偉大な思想家へと成長しました。彼の教えは、後に皇帝マルクス・アウレリウスに深い影響を与え、『自省録』の中で何度も言及されています。奴隷に生まれ、時の最高権力者の精神的指導者となったエピクテトスの人生は、運命の劇的な逆転を体現しています。彼の教えの記録『人生談義』は、困難な状況にあっても内なる自由を保ち、幸福を追求する方法として、今なお多くの人々に読まれ続けています。

 

エピクテトスは、健康を外的なものとして捉え、完全にコントロールできるものではないと考えました。しかし、健康的な生活習慣を維持することは個人の責任であると教えています。2000年前と違い、私たちに少しだけ有利なことは、今は自分の体質の傾向を詳細に知った上で健康管理ができることです。ストア派の実践は健康管理と両輪です。私もこの検査によって健康意識が一段上がりました。共に、幸せと本当の自由を手に入れるために進んでいきましょう。