Email-エピクテトス

いかなるものでも、心に浮かんだ不快な考えには、ただちにこう言うように訓練しなさい…

いかなるものでも、心に浮かんだ不快な考えには、ただちにこう言うように訓練しなさい。「お前はしょせん見せかけで、見た通りのものではない」。

そして、自分の基準で検証するのだ。まず第一に重要な基準は、それが自分の力の及ぶことに関係するのか、それとも力の及ばないことに関係するのかということだ。

そして、もしそれが自分の力の及ばないことに関わるのであれば、こう言ってやる準備をするのだ。「それは私とは関係ない」。- エピクテトス『要録』

Straightway then practice saying to every harsh appearance, You are an appearance, and in no manner what you appear to be.

Then examine it by the rules which you possess, and by this first and chiefly, whether it relates to the things which are in our power or to the things which are not in our power:

and if it relates to anything which is not in our power, be ready to say, that it does not concern you. – The Enchiridion of Epictetus

私たちは日々、さまざまな不快な出来事に遭遇し、そのたびに心には考えや印象が浮かびます。「なんだか嫌だな」と感じつつ、実際にはその印象をそのまま放置していないでしょうか。

「コントロールの二分法」を用いて、自分の力でコントロールできること(自分の判断や行動)と、コントロールできないこと(他人の行動や外部の出来事)を明確に区別することはもちろん重要です。しかし、このエピクテトスの言葉からは、スピード感が感じられます。

実践哲学としての一連の流れが、説得力を持って目の前に立ち現れてくるのです。

頭で理解するだけでは不十分です。自分の心を見つめ、考え、行動することが求められます。「それは私とは関係ない」と声に出して言い切るところまで、一気に達していくのです。

「それは私とは関係ない」と、あなたも今声に出して言ってみてください。

ストア派の仲間の支えを感じるはずです。 

参考文献

エピクテトスとは?

エピクテトスは紀元後50年頃、現在のトルコにあたるヒエラポリスで奴隷として生まれました。生まれながらの身分や、足に障害があるなど過酷な境遇にもかかわらず、彼はストア派哲学の偉大な思想家へと成長しました。彼の教えは、後に皇帝マルクス・アウレリウスに深い影響を与え、『自省録』の中で何度も言及されています。奴隷に生まれ、時の最高権力者の精神的指導者となったエピクテトスの人生は、運命の劇的な逆転を体現しています。彼の教えの記録『人生談義』は、困難な状況にあっても内なる自由を保ち、幸福を追求する方法として、今なお多くの人々に読まれ続けています。

 

エピクテトスは、健康を外的なものとして捉え、完全にコントロールできるものではないと考えました。しかし、健康的な生活習慣を維持することは個人の責任であると教えています。2000年前と違い、私たちに少しだけ有利なことは、今は自分の体質の傾向を詳細に知った上で健康管理ができることです。ストア派の実践は健康管理と両輪です。私もこの検査によって健康意識が一段上がりました。共に、幸せと本当の自由を手に入れるために進んでいきましょう。