Email-エピクテトス

もし誰かが、あなたの体を通りすがりの人に渡してしまったら、あなたは激怒するだろう。だが…

もし誰かが、あなたの体を通りすがりの人に渡してしまったら、あなたは激怒するだろう。だが、あなたは自分の心を出会った他の誰かに委ね、その相手に罵られれば動揺し、悩んだりするのだ。このことについては、恥ずかしいと思わないのか。- エピクテトス『要録』

If any person was intending to put your body in the power of any man whom you fell in with on the way, you would be vexed: but that you put your understanding in the power of any man whom you meet, so that if he should revile you, it is disturbed and troubled, are you not ashamed at this? – The Enchiridion of Epictetus

体は目に見えるけれど、心は目に見えません。そのため、私たちは心の中にあるものを守ることを忘れがちです。たとえば、見知らぬ誰かが近づいてきたとき、私たちは本能的に身を守ろうとしますが、心についてはどうでしょうか?

日々の生活の中で、私たちの心はさまざまな影響を受けています。ソーシャルメディア、職場の同僚、さらには流行や情報の洪水にさらされ、無意識のうちに心を奪われていることが多くあります。エピクテトスは、「コントロールの二分法」として、自分の力でコントロールできること(自分の判断や行動)と、コントロールできないこと(他人の行動や外部の出来事)を明確に区別することで、無駄なストレスや不安を避け、効果的にエネルギーを使うことができると説きました。

不測の事態や病気などで体はコントロールできなくなることがあっても、心のコントロールは守り続けることができます。この心のコントロールを意識し始めると、自分でも気がつかないうちに、あまりに簡単に心を手放していることが多いことに気づき、愕然とします。

2000年の時を越えて、エピクテトスの言葉が今の私たちに警告しているのです。 

参考文献

エピクテトスとは?

エピクテトスは紀元後50年頃、現在のトルコにあたるヒエラポリスで奴隷として生まれました。生まれながらの身分や、足に障害があるなど過酷な境遇にもかかわらず、彼はストア派哲学の偉大な思想家へと成長しました。彼の教えは、後に皇帝マルクス・アウレリウスに深い影響を与え、『自省録』の中で何度も言及されています。奴隷に生まれ、時の最高権力者の精神的指導者となったエピクテトスの人生は、運命の劇的な逆転を体現しています。彼の教えの記録『人生談義』は、困難な状況にあっても内なる自由を保ち、幸福を追求する方法として、今なお多くの人々に読まれ続けています。

 

エピクテトスは、健康を外的なものとして捉え、完全にコントロールできるものではないと考えました。しかし、健康的な生活習慣を維持することは個人の責任であると教えています。2000年前と違い、私たちに少しだけ有利なことは、今は自分の体質の傾向を詳細に知った上で健康管理ができることです。ストア派の実践は健康管理と両輪です。私もこの検査によって健康意識が一段上がりました。共に、幸せと本当の自由を手に入れるために進んでいきましょう。