ジャーナリング

【プロンプトメール サンプル】人生における私たちの最初の仕事は…

人生における私たちの最初の仕事は、物事を2つのカテゴリーに分けて識別することだ。自分にコントロールのできない外的な物事か、自分の選択によってコントロールする物事か。

それが正しく出来たか、出来ていないか、どうして分かるというのか?

自分自身の中で、自分自身の選択として行うがよい。自分の範囲外のものに対しては、良い、悪い、有益、有害などと決して呼んではならない。- エピクテトス『語録』

プロンプトメールについて

毎日のプロンプトメールでは、上記のストア派哲人の言葉のみを配信します。これにより、ジャーナリングのための思考を深め、ペンを進めることができます。

メール本文のリンクからは、プロンプトとなったストア派の言葉を解説したWeb記事へ飛べますので、必要に応じてご利用ください。

リンク先では、以下のような英文も併記しています。これは、日本語で意味が曖昧に感じられた際に、内容を確認していただくためです。

(古代の哲学者たちの言葉は、原文は古代ギリシア語やラテン語で書かれています。その後継承されながら、現在は多くの言語に翻訳されています)

メール内のリンクからは、以下のような解説付き記事へ移動します

So in life our first job is this, to divide and distinguish things into two categories: externals I cannot control, but the choices I make with regard to them I do control.

Where will I find good and bad?

In me, in my choices. Don’t ever speak of ‘good’ or ‘bad’, ‘advantage’ or ‘harm’, and so on, of anything that is not your responsibility. – Discourses of Epictetus

これは、2000年前の古代ローマの奴隷哲学者エピクテトスの言葉です。時を越えた言葉の持つ強い響きに圧倒されます。

人生において、私たちは様々な状況に直面します。その中で、エピクテトスは私たちに重要な識別を教えてくれます。それは、自分にコントロールできるものと、できないものを見分けることです。

あなたは日々、どれほど多くのことに心を煩わせていますか?他人の評価、予期せぬ出来事、社会の期待…。しかし、これらの多くは実は自分ではコントロールできないものなのです。

例えば、こんなことを考えたことはありませんか?「豪雨で電車が遅れなければ」「もっと背が高ければ」「もう少し若ければ」「海外に生まれていれば」…。でも、考えてみてください。今、自分が天候を変えることはできません。背が高く生まれ直すことも、時間を巻き戻して若くなることも、親の国籍を選んで生まれることもできません。だとすれば、私たちにはどんな選択があると言うのでしょうか?

エピクテトスはさらに問いかけます。「それが正しく出来たか、出来ていないか、どうして分かるというのか?」この問いは、私たちに自己省察を促します。本当に大切なのは、外部の状況ではなく、それに対する自分の態度や選択なのです。

彼は私たちに勇気を与えます。たとえ外的な自由が奪われても、内なる自由は誰にも奪えないと。あなたの選択、あなたの判断、それこそがあなたの本質なのです。

変えられない物事に対して、あなたがどのようにアプローチするかが、あなたの人生を決めていくということなのです。

さらに、エピクテトスは、自分の範囲外のものを「良い」「悪い」と判断することの愚かさを警告しています。 もともと判断のできない、そして判断する必要のないことでありながら、私たちの心の平安を乱す原因となるからです。これは自分を外側の評価で見るように誘導することにもなります。

ストア哲学の最も重要な原則は、変えられるものとそうでないものを区別することです。

エピクテトスが言うように、何を選択するかは、自分で決められるのです。具体的には、一日の始まりに、今日自分がコントロールできることとできないことをリストアップしてみましょう。例えば、天気はコントロールできませんが、雨の日の過ごし方は選べます。他人の意見はコントロールできませんが、それにどう反応するかは自分次第です。

このように意識的に区別することで、とめどなく押し寄せていた外部のプレッシャーから解放されて世界が違って見え始めます。無意識に縛られて続けていた物事がフッと消えて、スッキリとした状態で大切なことに取り組めるようになります。

ただし、これはストア派の考え方が、外部世界のことをどうでもいいと考えているわけではありません。むしろ、社会(宇宙)につながる自分のあり方として、重要な原則として教えてくれているのです。

参考文献